私が小学生の頃聞いた話です。母が若い頃、皆で源氏物語を読んでみようという話になって、先生に指導をお願いしたそうです。 その先生が、はじめから源氏物語を読むのは無理だから、と言って、なにか別の古典をまずは読むようにといって奨めてくれたそうです。 その作品が何だったのか、そのころはいっさい古典を知らなかったので、覚えていませんが、たぶんつれづれ草とか枕草子とかでしょう。そして、その「?」を読んで、さあ源氏物語を読みましょうと言ったら、まだ無理だから、もう一冊別の本を読むようにと言われたそうです。 源氏物語って、ずいぶん難しい本なんだなあって、そのとき思いました。 母は、「いと、ろうたけく・・」という言葉を言って、女の人の可憐なかわいらしさのことを、そんな風に書いてあったことを、言いました。夕顔の君のことだったような気がします。 |